特集

ビデオ会議やオンライン飲み会で、カメラにしれっと撮影済み動画を映す方法

 新型コロナウイルスに伴う外出自粛で、会社での会議や、はたまた知人・友人との飲み会など、それまで面と向かって行なっていたことをオンラインで行なうことが増えた。これは、IT技術で、それまでできなかったことをできるようにしたり、生産性を上げたりできるという良い見本の1つだが、一方でちょっとした悩みのタネもある。たとえば、せっかく身支度しないでいい在宅状態なのに、30分とか1時間の会議のために身だしなみを整えないといけないといったものだ。

 ほかにも、今日は部屋が少し散らかっていて、他人に見られたくないというのもあるかもしれない。そういったとき、カメラにリアルタイムの映像ではなく、過去に撮影済みのものを流せたらどうだろう? もちろん、話を求められたら一発でばれてしまうが、自分が話さなくていい会議なら、聞いているだけで済むので、必ずしもリアルタイムの映像を流す必要はないかもしれない。

 じつはコレ、ひじょうに簡単にできるのだ。用意するのは無償の配信ソフトだけ。具体的に方法を解説しよう。

XSplit Broadcasterの場合

 まずは「Xsplit」の場合。本ソフトはフル機能を使うには有償版を購入する必要があるが、無償版でも1,280×720ドット30fpsの配信ができる。ビデオ会議やオンライン飲み会ならこの画質でじゅうぶんだ。まずは、XSplitの公式サイトから「XSplit Broadcaster」をダウンロードし、インストールする。

XSplit Broadcaster

 インストールしたら、ソフトを起動。まずは、ビデオ会議に流すダミーの動画を撮影する。左下の「ソースの追加」をクリックし、「デバイス」→「ビデオ」から自分のカメラ(多くの場合はWebカメラ)を選択する。

 カメラの映像が表示されるが、サイズが合っていないことがあるので、白い枠の隅をドラッグして、画面いっぱいに広げる。

 メニューの「レコード」→「ローカルレコーディング」をクリックすると、録画が開始されるので、適当に顔を動かしたり、うなずいたり"会議に参加している体"の状態で5~10分ほど録画を行なう。動画はこの後、繰り返し再生するので、体や顔の動きはコンパクトにまとめておくと、つながりが良くなる。

 録画を終了したら、ソースの追加から「メディアファイル」を選び、先ほど録画した動画を選択する。動画は、ビデオフォルダに録画されている。ここではわかりやすいように、まったく違う動画を選んでいる。動画もフルサイズになっていない場合は、隅をドラッグして、フルサイズにする。

 再生されている動画を右クリックして、「メディア」タブの「再生」を「永遠に」にすると、繰り返し再生となる。また、ビデオ会議系ソフトでは画面を左右反転するので、「レイアウト」タブの「ひっくり返す」の2つ右にあるアイコンをクリックし、左右を反転させておく。

 これで準備は完了だ。あとは、ビデオ会議ソフトのカメラとして「XSplitBroadcaster」を選ぶだけだ。ここでは、「Google Meet」を使っている。普通だとカメラの映像が表示されるが、動画が表示されているのがわかるだろう。

OBSの場合

 もう1つの定番配信ソフト「OBS」の場合も説明しよう。こちらもOSB公式サイトから、ダウンロードし、インストールする。ただし、OBSの場合は、標準で仮想カメラ機能が搭載されていないので、こちらからプラグインをダウンロードし、別途インストールしておく。

OBS

 起動したら、ソースのボックスの下にある「+」をクリックし、「映像キャプチャデバイス」を選択。新規作成のまま「OK」を押すし、デバイスから自分のカメラを選ぶ。これで、カメラの映像が表示される。

 「コントロール」から「録画開始」をクリックすると、録画が開始されるので、XSplitでの説明を参考に、適当に録画を行なう。

 録画が終わったら、ソースの+を再度クリックし、「メディアソース」を選択、新規作成のままOKを押し、録画した動画を選ぶ。この動画ファイルもビデオフォルダに保存されている。

 動画のサイズがフルサイズになっていなかったら、隅をドラッグして画面いっぱいに引き伸ばす。

 メディアソースを右クリックし、「変換」→「水平反転」を選び、左右を反転させる。

 メニューの「ツール」から「VirtualCam」を選び、表示されたウィンドウで「Start」を押す。標準だとOBS VirtualCamは4つの仮想カメラをインストールするが、「Target Camera」は「OBS-Camera」を選んでおけばいい。

 これで準備完了で、ビデオ会議ソフトの設定で、カメラとして「OBS-Camera」を選べば、録画しておいた動画が再生されるのだが、Google Meetではその選択肢が表示されず機能しなかった。代わりに、DiscordではOBS-Cameraを選択できた。XSplitのほうが各種ビデオ会議ソフトと互換性が高いようだ。

OBSの場合、Google Meetでは動作しなかったが、Discordでは動作した

 以上のように、フリーソフトを使い、ビデオ会議などで簡単に録画済み動画を流すことができる。ただ、仕事をさぼるためなどの目的でこういった手法を使うのはおすすめしない。先にも書いたとおり、発言を求められたら即座にばれるからだ。たとえば、女性がオンライン飲み会で、顔出しもしておきたいが、メークする時間がないといったときに、あらかじめ録画しておいたものを流しつつ、そのことを参加者に伝えたうえで、声は普通にリアルタイムで参加するといった用途などにいいかもしれない。